事業計画は成功のシナリオづくり
「独立して脱エステ)サロンを開業する!」
そう思ったときに、あれこれとやりたいことが頭に思い浮かんでくるかと思いますが、頭の中だけで事業化させることは、なかなか至難の業(わざ)かもしれません。
そこで、頭の中の構想を書面に記すことで、事業を具体化したものが「事業計画書」となるわけです。
事業計画は、自らが何らかの事業(ビジネス)を立ち上げようとした時に、その事業を成功させるための根幹を示したシナリオづくりです。
また書面化することで、事業に関係するパートナーや協力者、出資者、借入調達先などに示す資料にもなります。
「しかし、大げさなものは作れないし、そもそも絶対必要なの?」と思う方もいるかと思いますが、これは事業者(経営者)の考え方によります。
もしも、サロンを生業(なりわい)として成功させたい、成長させたい、スタッフを雇い入れたい、外部からの資金調達も視野に入れたい…etcの考えをお持ちであれば、事業計画書を作成することを強くおすすめします。
ということで、早速「事業計画とはどんなものなのか?」詳しく見ていきましょう。
事業計画のフレームワークとは
「事業計画なんてやったことないし、どうすればいいの?」と初めから立ちすくんでしまいそうです。そこで、事業計画を策定するためのコツを教えましょう。
それは、「5W3Hで物事を捉える」と言うことです。
When(いつ)
いつ(までに)~するの?
Where(どこで)
どこで~をやるの?
Who(誰が)
どんな人たちが~にかかわるの?
What(何を)
どんなことについて言っているの?
Why(なぜ)
どんな理由でそうする(した・なる)の?
How(どうする)
具体的にどのように行うの?
How Much(いくら)
いくら儲かるの?orいくらかかるの?
How Many(どのくらい)
~の数量は?分量は?
このように5W3Hを元に一つ一つの物事に対して具体的に落としこんでいくわけです。
では、事業計画を策定するうえで、特に重要な「開業に必要な資金と調達方法」と「当面の損益(収支)計算表」の2つについてポイントを見てみます。
1.開業に必要な資金と調達方法
開業(創業)するためには、どんな形であれ事業を行う環境を整える必要があります。
例えば、場所(店舗の拠点費用)、改装費用、設備、什器備品、法人化する場合は設立費用などケースバイケースで様々です。
その一つ一つをすべて取り上げて、「何にいくらかかり、いつまでに、誰に、どのような方法で支払うのか?」を明文化することで開業に必要な資金の全体像が見えてきます。
次に、「その必要資金をどこから、どのような形で、いくら調達するのか?」を明らかにさせていくわけです。
開業時における資金調達については、新規開業/資金調達をどのように考えるか?も、合わせてご参照ください。
2.当面の損益(収支)計算表
開業時の資金と調達法が確認できたら、次に事業開始以降の損益(収支)をシミュレーションします。
損益計算表は、大きくは3つの要素から成り立っています。
1つ目は売上予想額、2つ目は経費(コスト)の合計額、3つ目は売上から経費等を引いた時の損益額です。
これらの各要素を月次や3~4カ月単位で数値を割り出し、1年先、3年先など事業の姿・形を描いていくわけです。
「そんな数年先までわからない!」と言う方は、とりあえず事業開始から軌道に乗る~事業が安定する期間まで頑張って描いていきたいものです。
◆売上をどう予測するか?
損益計算の中で特に重要になるのは、「売上予測」です。
事業計画はこれから先のことを見込算定していくわけですが、売上予測を見誤るケースが結構あります。
その多くは過剰算定であり、実際に事業を開始してみると当初予測した売上に到底及ばず、経営を圧迫していくことはよくあるパターンです。
従って、売上予測は「願望」ではなく「実現ベース」で考えるべきものなのです。
では、肝心の売上はどう算定していくかですが、これには次の普遍的な方程式があります。
売上=客数×客単価
これをサロンにおけるサービス料の売上にあてはめるとこうなります。
サロンの日次売上=一日の来店客数×一人当たりの平均(施術)単価
上記の計算式から1カ月の営業日数をかけると月次売上になります。
その他に化粧品や美容関連商品などの物販がある場合、サービス料売上に付け加えていきます。
個別物販の日次売上=1日の平均購入客(個)数×商品の平均(個別)単価
◆売上予測は根拠を示すことが重要!
先にも申し上げましたが、売上予測は「願望」ではなく「実現ベース」で算定するものです。
そこでポイントになるのが、「算定の根拠」です。
つまり、「来店客数や購入客数はどう捻出したのか?」、「平均単価をどう捻出したのか?」と言うことです。
特に来店客数のうち新規来店客数を見込んでいる場合は、集客コスト(広告費など)のバランスは妥当かどうかを検証する必要があります。
これらの算定根拠を示せることができれば、それだけ「実現ベース」により近くなるわけで、事業計画全体の信ぴょう性や説得性が格段に上がります。
◆事業戦略も大事なこと
ここまで事業計画を策定するにあたり、資金調達や事業損益と言った「お金」に関するシミュレーションを中心にポイントを解説しました。
「お金」に関することは計画のコアであることに間違いありませんが、実はもう一つとてつもなく大事なことがあります。
それは、「事業戦略」です。
「戦略」と聞くと、難しくて眉をひそめる方もいるかもしれませんが、事業(ビジネス)を成功させようとするのであれば、絶対に必要なことなのです。
何故かと申しますと、サロン運営に限らずどんな事業でもお客さん(顧客)がいなければ、商売は成り立ちません。
そのお客さんの母集団を「市場」と言っています。
市場には、お客さんと自社(店)だけでなく、競合他社(店)もプレイヤーとして存在します。
お客さんは、売り手(サービス提供者)を自由に選ぶことができます。
もし、そのお客さんが自社(店)でなく、他社(店)を選んでしまったら商売は成り立ちません。
だから、「他ではなく、自社(店)を選んでもらうためにどうすれば良いか?」、その方策を打ち出すことが「事業戦略」と言うわけです。
まとめ
事業計画書は、主に借入や第三者からの出資など外部資金調達を考えるのであれば必ず提示を求められます。
ただ単に体裁を整えただけのものや実現性に乏しいものだと説得性に欠けてしまうばかりか、事業計画が当初から行き詰まる可能性が高くなります。
また、外部資金調達を考えていない方でも、「自分がこれから行う事業をどう見通すか?」を自分に対して示すことも大切な要素です。
自分が立ち上げる事業について、徹底的に洗い出し、考え抜くこと。
「お!この事業計画だったら成功する可能性が高いよね」と自他ともに認められるためには、手間ひまを惜しんではいけないと言うことです。